商品を補充しやすい紙製什器の設計|売場スタッフの作業から考える

紙製什器に商品を補充するたび、手前の箱をいったん取り出していませんか。反対に、正面には商品がきれいに並んでいるのに、奥の列が空いていたということもあります。どちらも、満杯に陳列した状態だけを見ていると気づきにくい問題です。

補充の手間を減らすには、売場スタッフがどこに立ち、どの列の残数を見て、どこから商品を足すかを順に考えます。この記事では、売場での動きをもとに、紙製什器の補充方向と作業スペースを決める方法を紹介します。

設置を予定している場所に合わせて、卓上タイプやフロアタイプの形状を見比べたい方はこちらをご覧ください。

1.商品を足す前に、何を動かしているかを見る

まず、普段その売場を担当するスタッフに、売れ筋の商品をいつもの手順で補充してもらいます。注目したいのは、新しい商品を棚に置く直前の動きです。手前の商品を台に移す、隣の列を押し分ける、什器を手前に引く。このような動作があれば、それが設計を見直す手がかりです。

例えば「奥に入れにくい」という意見だけでは、棚が深いのか、上の棚に手が当たるのか判断できません。「下段の奥へ箱を入れるとき、上の棚に指が当たり、手前の箱を取り出している」と記録すれば、見直す場所を絞れます。複数の列がある場合は、補充回数の多い列から観察しましょう。

紙製什器の奥に商品を足すため、スタッフが手前の箱を取り出す様子|紙製什器ドットコム

2.スタッフが立てる位置から補充方向を決める

同じ什器でも、壁際と両側から近づける売場では、使える補充口が違います。売場写真に壁・隣の什器・レジの位置を書き込み、営業中にスタッフが立てる側を確かめてから、次の候補を比較します。

補充方向の候補 検討しやすい売場 商品を持って確かめること
正面から 背面が壁に接し、左右にも別の商品が並ぶ棚 手前に商品が残ったまま、奥の空き位置まで手が届くか。下段では上の棚に手の甲が当たらないか。
上から 上方が開いた平台やカウンター 商品を握ったまま前縁や仕切りを越えられるか。上に既存棚や案内板がある場合も同じ動作ができるか。
背面・側面から カウンター内側など、正面以外にスタッフが立てる売場 その面から商品を入れられる形状か。什器を回転させず、補充したい列まで届くか。

先に並べた商品から販売する売場では、残った商品を手前に寄せ、新しく足す商品をその後ろへ置くところまで試します。正面からしか手が入らず、毎回手前の箱を取り出すなら、一列の奥行きを浅くする案もあります。その場合は一度に置ける数も減るため、次の売場巡回まで商品が足りるかを併せて検討します。

上に棚板がある売場で、紙製什器の正面から箱を差し入れる手元|紙製什器ドットコム

3.売場を巡回する位置から、列ごとの残数を読む

奥行きのある列では、先頭に商品が一つ残っているだけで、正面からは満杯の列と同じように見えることがあります。全列をそろえた状態から、よく売れる一種類だけを残りわずかにして、スタッフが普段通る方向から見てみましょう。そこで見分けられなければ、補充のたびに一列ずつのぞき込むことになります。

残数を正確に数える必要がある売場と、「そろそろ足す列」が分かればよい売場では、必要な工夫も違います。例えば、商品を手前に寄せる運用なら、列の底面に目印を印刷し、その印が見えたら補充する方法が考えられます。箱が奥に残る運用では同じ印が早く見えてしまうため、商品の寄せ方と印の位置をセットで決めます。

色柄違いの商品が並ぶ場合は、空いた列にも商品名や色名が残るよう、棚の前縁に表示する方法があります。最後の一個が売れたあとでも、どの在庫を持ってくるか判断できます。表示位置は、値札を付けた状態で確認してください。

色名を表示した紙製什器で、商品が減った列に底面の目印が見える様子|紙製什器ドットコム

売場に合わせて棚の形や印刷位置から検討したい場合は、オーダーメイド特集で製作の流れをご覧ください。

4.什器を置く場所と、補充に使う場所を分けて測る

什器の外寸は、本体が売場に収まるかを判断する寸法です。商品が入るかを見るときは、仕切りや前縁の内側で実際に使える幅・奥行き・高さ、つまり棚やトレーの「有効内寸」を確認します。さらに補充には、商品を握った手を通し、置いたあとに指を抜く空間が要ります。

例えば、縦長の箱は、奥の定位置には立てて収まっても、手前の縁を越えるために傾けると上の棚に角が当たることがあります。設置予定の高さで実物の箱を持ち、縁を越えるところから手を抜くところまで動かしてみてください。箱が当たった位置を横から撮っておくと、棚の間隔と前縁のどちらを相談すべきか伝わります。

什器の外側では、補充箱をどこで開け、どこに置いて商品を取るかも決めます。レジ横なら会計に使う台、通路に面した棚ならお客様が商品を取る位置と重ならないか、普段使う補充箱を置いて確認しましょう。箱のふたを開いた状態まで含めるのがポイントです。

カウンター内側に置いた補充箱と、売場側の紙製什器を斜め上から見た様子|紙製什器ドットコム

5.一度に足す数を、在庫の持ち出し方に合わせる

バックヤードから内箱単位で在庫を運ぶ店舗では、棚に入りきらなかった商品を戻す手間もあります。補充回数を減らしたいときは、満杯の収容数に加えて、「補充の合図が出た時点で何個入るか」を確認してください。

説明用の計算例:ある商品が一列に8個入り、残り3個で補充すると仮定します。この時点で足せるのは5個です。6個入りの内箱を一つ持ってくる運用なら、1個を持ち帰ることになります。これは架空の条件で、特定の紙製什器の収容数を示すものではありません。

この場合、残り2個で補充すれば内箱一つ分が収まります。ただし、次の巡回前に売り切れる売れ筋なら、合図を遅らせると欠品につながります。その商品だけ列を増やす、巡回時に必要数だけ持ち出すなど、売れ方とスタッフの運び方に合う方法を選びましょう。

6.設計を相談するときは、売場写真に補充の動きを書き込む

「補充しやすくしたい」という希望は、売場写真にスタッフの立ち位置を丸で、商品を入れたい方向を矢印で書き込むと伝わりやすくなります。次の情報を一緒にまとめておくと、棚の形と売場の運用を照らし合わせて相談できます。

  • 商品:包装した状態の幅・奥行き・高さ・重量、種類ごとの陳列希望数。
  • 設置場所:使える幅・奥行き・高さ、壁や上の棚の位置、スタッフが立てる側。
  • 在庫:内箱の入数、売場に持ち出す単位、先に並べた商品を手前に寄せるかどうか。
  • 補充のきっかけ:誰がどこから残数を見て、どの状態で在庫を取りに行くか。
  • 減らしたい作業:「手前の箱を取り出す」「空いた列の色名を調べる」など、今の売場で繰り返している動作。

試作から発注までの進め方は、紙製什器のオーダーメイドの流れで確認できます。設置場所や補充方向が決まっている方は、売場の条件を添えてご相談ください。